コンサルにおける経験者採用の一般的採用プロセスは以下の通りです。
- エントリー
- 書類審査
- WEBテスト ※実施しない場合もあります。
- 一次面接 ※複数回実施する場合もあります。
- 最終面接
本記事では、第一関門である書類審査に必要な履歴書と職務経歴書の書き方について説明します。
書類審査の位置づけ
書類審査は転職候補者にとっても、受け入れ企業にとっても極めて重要な位置づけです。
候補者にとってみれば、初めて自分から企業に向けて情報を発信する手段です。自分がこれまで何をしてきて、何ができるのか、何をしたいのか、をアピールするために大変重要です。
一方、受け入れ企業にとっても重要な位置づけです。受け入れ企業は良い人材を採りたい思いはありますが、採用基準にマッチしない候補者と面接をセッティングするほど暇ではありません。そのため、企業側のコストを抑えるためにも書類審査でしっかりとスクリーニングします。
事実、私の周りにも、優秀なのに書類審査で面接すらしてもらえなかった人が何人もおります。したがって履歴書・職務経歴書は魅力的な書類に仕上げる必要があります。
以下、履歴書・職務経歴書それぞれの作成について配慮すべきことをまとめました。参考にしてみて下さい。
なお、私が学生の時(もう20年も前ですが)に就職試験で提出した履歴書は手書きでした。今の学生も同じように手書きなのかは知りませんが、転職活動においてはWord、Excelで作成した書類をPDFなどの形式で提出することが一般的です。特にフォーマットに指定がなければ、こちらのサービス(yagish ブラウザでつくれる履歴書)を使うと良いでしょう。
履歴書・職務経歴書記載の基本的な方針
コンサルの仕事として、①課題解決のソリューション提案と、②プロジェクト推進のPMOの役割があります。
ピンポイントで尖った経験がある場合は①ソリューション提案の路線でアピールができますが、その経験がはまらない場合にはアピールポイントになりません。
したがって、②のプロジェクト推進のPMOの役割として活躍した実績をアピールし、実行力があることをアピールしましょう。
履歴書
履歴書には、学歴・職歴、免許・資格、志望動機、本人希望(給与・勤務地など)を記載します。それぞれの記載についてポイントを説明します。
学歴・職歴
高校から現職までの学歴・職歴を空白期間がないように記載します。転職しようと思い立ったタイミングではどうしようもない項目ですので、ここは嘘がないように記載すれば、特に注力する部分ではないでしょう。
免許・資格
現職または、自己研鑽で取得した資格を記載できます。資格を持っていることで、どのような領域に注力してきたのかを定量的に示すことができますので、書けるものがあれば書きましょう。全くなくても他で十分挽回できますが、もし時間に余裕があるなら、以下の記事を参考に資格を取得してみるのもよいでしょう。
https://mfg2consultant.com/certification
なお、自動車運転免許は記入する必要はありません。
志望動機
この欄は企業へのアピールポイントとなりますので、使用するフォーマットに対し、9割以上埋めるつもりで書きましょう。もちろん、量よりも質が重要です。私の場合は以下のような構成で記載しました。
- 何に貢献したいがために、コンサルに応募したか。
- これまでの経験から、どんな課題認識を持っているか。
- その課題に対し、製造業での実務経験が活かせる部分は何か。
- その課題に対し、コンサルの立場でできることは何か。
新卒採用のように熱意だけで採用されるようなことはありません。重要なのは課題認識です。これが的を射ていれば、面接においても面接官と意気投合できます。
今の業務で実感している課題認識を整理してみましょう。
本人希望(給与・勤務地など)
給与や勤務地は後からでも交渉が可能です。そのため、私は「貴社規定に従います。」と記載しました。
いきなり、「年収〇〇万円希望」と書いてしまうのは、外資系企業であってもほとんどのケースで相手は日本人ですので、あまりいい印象を与えることはないでしょう。
職務経歴書
職務経歴書は履歴書よりも重要です。受け入れ企業はこの書類を見て、候補者は何をやってきた人なのか、何ができる人なのかを理解します。そして候補者が受け入れ企業に何をもたらしてくれるのかを期待します。
記載項目は、経歴概要、活かせる経験・スキル、職務経歴、自己PRです。こちらの書類についても項目ごとに記載のポイントを説明します。
経歴概要
最終学歴の卒業後から現在に至るまで、社会人として所属した組織とその組織での立場、役割を端的に記載します。詳細は後の職務経歴に記載しますので、記載量は10行以内くらいが目安です。文体は「~に従事」や「~を経験」など、言い切り型とし、「現在に至る」で締めくくるのが良いでしょう。
活かせる経験・スキル
経験、年数、活かせるスキルのレベルを箇条書きで記載します。なお、DXコンサルをターゲットとした場合、活かせるスキルはDXプロジェクトの経験の有無で以下のように書き方を変えます。
DXプロジェクトの経験がある場合
- ***領域の**設計/〇年以上
**の設計プロセスと要点を理解し、(ソリューション名)による業務改革を提案できるレベル
DXプロジェクトの経験がない場合
- ***領域の**設計/〇年以上
**の設計プロセスと要点を理解し、**による業務改革を提案できるレベル
DXプロジェクトの経験がある場合はストレートにその経験を記載しましょう。具体的に記載できるソリューション名があれば、それも記載するとポイントアップです。
DXプロジェクトの経験がない場合でも、業務に対する深い理解をもって業務改革を提案できる、という書き方でスキルレベルを記載するとよいでしょう。
職務経歴
このセクションでは、これまで経験した業務改革プロジェクトの期間と業務内容を記載します。基本的にはフォーマットに従い記載すると良いのですが、次の点には注意しましょう。
- プロジェクトの空白期間を作らないよう、網羅的に経験したプロジェクトを記載
- 業務内容は以下の要素を盛り込む
- 担当業務
- プロジェクト概要
- 背景
- 課題
- 対策
- 対策に至るまでのアプローチ
- プロジェクトにおける自分の役割
- プロジェクト参加人数(他部門・ベンダー・顧客など含む)
- 成果・貢献
- マネジメント面での貢献
- 事業に対する貢献
- 環境・ツール(できるだけ具体的に)
- システム開発の場合は、OS・開発言語・データベース など
- 製品開発の場合は、CAD・シミュレータ など
自己PR
職務経歴書の最後はフリーフォーマットの自己PRです。フォーマットではありますが、PRポイントは3つあげて、その根拠を記載するのが良いでしょう。そして、最後にその3つを統合すると、コンサルでの活躍ができる人材であることを主張するとよいでしょう。
なお、私が作成した自己PRの構成は以下の通りです。
①:実務経験(**業界における製品設計~ライン立ち上げの経験)
②:マネジメント経験
③:熱意(日本製造業の課題認識と使命感)
締め:①~③を統合して、コンサルとして活躍する能力と意思があることを主張
まとめ
採用プロセスにおいて、すでに書類審査の時点で選考は始まっています。書き方如何では、経験と能力があっても次のステップに進めないこともあります。また、履歴書と職務経歴書は面接官が事前に目を通す書類でもあります。そのため、嘘の無いよう、誠実に、熱意をもって実力をアピールしましょう。