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  3. 【コンサルの仕事】製造業経験者が強みを活かせる場面とは

コンサルに対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。

私は15年以上、半導体・自動車部品メーカーで生産技術エンジニアとしてキャリアを積んだ後、総合コンサルに転職し、製造業のDXを支援するコンサルタントとして日々奮闘しています。

そんな私が製造業の生産技術エンジニアだったころ、”コンサルなんて、物質的な生産活動は行わない、インチキ臭い仕事”とネガティブなイメージを抱いていました。しかしコンサルに転職してみて、この考えはだいぶん変わりました。

本記事では製造業にお勤めのエンジニアの方に、コンサルとはどういう仕事なのかをお伝えしたいと思います。その上で、優れたコンサルが備えている能力、生え抜きのコンサルでは埋めることができない弱点をお伝えし、製造業エンジニアがコンサルに転職することで最高のキャリアを築けることをお伝えします。

コンサルとは何を生む仕事か

まず当たり前のことですが、製造業は製品を作って売るのが仕事です。製品は形のある、物質的な存在です。そのため、企業活動のほとんどは物質をイメージした活動になります。製造現場での製品製造だけでなく、製品設計やそれを生産する工程設計なども、最適な形状や材質を決めたりする物質をイメージした活動です。そのため、企業活動のアウトプットが可視化しやすいのが特徴です。

一方で、コンサルは物質的な生産活動ではありません。メーカーが工場・設備を揃えて製品を生産する代わりに、コンサルは生身の頭脳だけでクライアントの課題を解決するという知的生産活動を行います。メーカーにとって磨き上げた生産技術(匠のワザ)が武器であるのと同じように、コンサルは磨き上げた思考能力による課題解決力を武器としています。

課題解決のプロであるコンサルに持ち込まれるクライアント企業の課題は、事業活動そのものを変革するような重要な案件ばかりです。クライアント企業が独力で解決できないような難題を、少ない情報をインプットに限られた時間で解決策の提案を行い、その提案を具現化するために企業に伴走します。

これらの活動のアウトプットは製造業のアウトプットのように物質的ではないため、すぐに目に見えるものではありません。そのため、(過去の私のように)コンサルの仕事をインチキ臭く感じる方が少なからずいらっしゃると思います。しかし、クライアントの課題分析から解決策の具現化に至るまで、クライアントに寄り添いながら支援する、重要な役割を担っていることを知っていただければと思います。

優れたコンサルタントが備えている能力

先述の通り、 コンサルは生身の頭脳だけでクライアントの課題を解決するという知的生産活動を行います。 そのためコンサルには、限られた時間の中で、限られた情報をインプットに課題解決にたどり着くための仮説思考力や、提案を論理的に整理してクライアントに説明するロジカルシンキングなどの思考能力が必要とされます。

私が勤めるコンサルでは経験者採用が多いため、プロジェクトにはコンサル歴の長い人・短い人が混ざっています。そのようなメンバー構成の中で仕事をしていると、やはりコンサル歴が長い方は優れた思考プロセスが身についているように見受けられます。そのような先輩コンサル達に話を聞くと、皆さん入社後数年は苦しんだと言います。裏を返せば、先輩コンサル達が身に着けている能力は、誰でも身に着けることができるということだと思います。努力も必要だと思いますが、プロジェクトを複数経験することで、おのずと自身が付いてくるという部分もあるようです。

生え抜きコンサルの弱点

コンサル歴が長く、場数を踏んできたコンサルは思考能力を磨き上げています。このような先輩コンサルからは、いわゆる切れ者オーラが出ています。大学新卒でコンサルに入社するような元できる学生は、キャリアを積むごとに益々自信を高めてオーラを身にまといます。彼らの能力が高いことは、疑いの余地はありません。しかし、彼らにはどうしても得られない弱点があると考えます。それは事業会社での実務経験です。

従来のコンサルタントが活躍していた領域は、企業の買収や新規事業の開拓など、ハイレベルな案件でした。もちろんこのようなハイレベルの案件は、いまでも戦略コンサルタントが担当する花形の案件です。しかし今後はデジタル化の波に乗り、DX案件が増えてくることが予想されます。これに伴い、コンサルにも多くのDX案件が舞い込んできます。

DX案件にもいろいろありますが、クライアントの業務プロセス改革の案件では、各企業の業務に特化した課題解決が求められます。このような案件では、戦略コンサルタントのような抽象度の高い会話が成立せず、クライアントの現場で使われるリアルな単語で会話する必要があります。製品設計業務や工程設計業務の改革ともなると、業界固有の単語が飛び交います。このような単語が飛び交う中では、言葉の意味をその場で確認してイメージするのと、元々それを実体験として知っているのとでは大きな差が出ます。

私自身、コンサルとしての思考能力は先輩コンサルには劣るものの、過去にメーカで実体験として得てきたものを下地としてバリューを提供できていると感じています。クライアントから得られる断片的な情報を、自分のメーカでの経験で補完して仮説を立てたりしています。私が持つこの経験は、生え抜きの切れ者コンサルタントでは身に着けることができない武器だと実感しています。

製造業エンジニアが今選ぶべき道

本記事ではコンサルの仕事と能力、弱点についてご説明しました。

コンサルの仕事は知的生産に特化した仕事であり、クライアントの課題解決に貢献するだけでなく、コンサルタント自身がビジネスパーソンとしてスキルアップすることができる魅力的な仕事です。一方で、メーカー出身の立場で申し上げますと、やはり未経験のコンサルが知った気にモノを言うのは無理がある場面も見受けられます。

そこで私から伝えたいメッセージは、現時点でメーカーにお勤めのエンジニアにはぜひ、コンサル転職の道を考えていただきたい、ということです。製造業での経験はDX案件において生え抜きコンサルでは提供できないバリューを発揮します。またご自身にとっても、製造業の経験とコンサルで得られる思考能力を掛け合わせると、ハイブリッドなビジネスパーソンとして成長できると考えます。

本ブログでは製造業からコンサル転職のノウハウを語っています。他の記事も合わせてご覧下さい。


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